子なし夫婦を受け入れるまで|綺麗事ゼロの全記録
私たちは「子どもを諦めた夫婦」ではありません。
遺伝と病気という現実の中で、「選べなかった」というのが本音です。
ネットで検索すれば「自分の時間を大切にしたいから」というスマートな理由が溢れていますが、私たちの現実はもっと泥臭く、子どもが欲しいかどうかを悩む“スタートライン”にすら、私は立てませんでした。
理由① レーベル病(遺伝性難病)への恐怖と、消えない不安
私の家系には「レーベル病(レーベル遺伝性視神経症)」という遺伝性の難病があります。
母からは「男性だけが発症するんだよ」と聞かされて育ちましたが、実際に弟が20代で発症し、視力が著しく低下していくのを目の当たりにしました。
当時20代だった私に重くのしかかったのは、「もし、自分の子どもが将来同じように視力を失っていったら?」という恐怖です。
その想像をした瞬間、心臓がギュッと冷たくなり、息がうまく吸えなくなったのを今でも鮮明に覚えています。
「それでも子どもが欲しい」という感情を、「残酷なリスクを絶対に背負わせられない」という理性が力ずくで押さえ込む、終わりのない自己嫌悪の始まりでした。
理由② ジエノゲストで生理を止め続ける現実。私たちには「選ぶ余地」すらなかった
追い打ちをかけるように、私自身の身体にも限界が来ていました。
20代の過労がたたり子宮内膜症を発症し、世間が思い浮かべるような「高額な不妊治療を頑張る」というステージにすら、私は立てていません。
激痛や病気の進行を抑えるため、1日2回「ジエノゲスト」という薬を飲み、生理そのものを強制的に止め続けているのが私の現実です。

薬をやめて激痛に耐えながら、子どもができるかも分からない茨の道へ進むのか?
朝と晩、小さな白い錠剤を水で流し込むたびに諦めが積み重なり、気づいたときには、“選ばなかった人”ではなく“選べなかった人”になっていました。
りっすー現在も産婦人科に通院中です。今は割り切っているので何とも思いませんが、妊婦さんがたくさんいるので、最初の頃は複雑な気持ちでした。
理由③ 張り詰めた糸が切れた日。夫がくれた「2人で生きていく」という言葉


深刻な病気なんだから、諦めがついて楽でしょ
そんな無神経な言葉をかけられたこともあります。頭では仕方のないことだと理解していても、心が追いつかない日々が何年も続きました。
そんな暗闇から私を引っぱり上げてくれたのは、夫の言葉でした。
「俺はもともと子どもが欲しくないし、結婚もしないと決めていた。でもりっすーと楽しく生きていくために結婚したんだよ」
いつものリビングで、何気なく言われたその言葉を聞いた瞬間、自分の中で何年もパンパンに張り詰めていた糸がプツンと音を立てて切れました。
気づけば、夫の目の前で子どものようにしゃくり上げて泣き崩れていました。
私たちは、残酷な運命に無理やり屈したわけではありません。
涙が枯れるまで泣いたあの夜から、「仕方なく受け入れた現実」だったはずのものが、いつの間にか「2人で選び直した人生」に変わっていました。
子なし夫婦として生きると決断した後、それでも「受け入れるまで」に必要だった時間
夫の言葉で救われたとはいえ、翌日から急に「よし、これからは2人で楽しく生きるぞ!」と完全に切り替えられたわけではありません。
心の中にポッカリと空いた穴を少しずつ埋め、本当の意味で現状を「受け入れる」までには、それなりの時間と痛みを伴いました。
「選ばなかった」のではなく「選べなかった」あなたへ


「お子さんはいるの?」
親戚の集まりや、職場の何気ない雑談で投げかけられる、悪気のないこの一言。
そのたびに、頬を引きつらせて曖昧に笑ってごまかし、その後に流れる気まずい沈黙にじっと耐える。本当にしんどいですよね。
ネットには「自分たちのキャリアや時間を優先した」という前向きなDINKsの声が溢れています。
でも、その裏には私たちのように、病気や年齢、あるいは経済的な理由で「選ぶことすら許されなかった」夫婦が確実に存在します。
だから、他人の「なぜ?」に答えるための、立派でスマートな正解なんて用意しなくていいんです。
他人の正解に合わせて生きるのをやめたとき、ようやく息ができるようになりました。
傷ついた自分を責める必要もありません。「選べなかった」という事実を抱えたまま、ただゆっくり深呼吸をして、少しずつ今の生活に目を向けていけばいいのです。
今の泥臭い生活を、私たちは心から愛している


時間をかけて自分たちの感情と向き合い、何度も話し合った結果、今では「子なし」という現状に何の負い目も感じなくなりました。
休日の朝、2人で並んで遅めのコーヒーを飲みながら、他愛もない会話をして笑い合う。
決してキラキラしたSNS映えするような生活ではありません。遺伝の恐怖や薬の副作用と隣り合わせの、泥臭くて地味な毎日です。
でも、私たちは悩み抜いて自然と着地した、この穏やかな「2人暮らし」をとても愛しています。
あなたとパートナーが、誰の目も気にせず、今の生活に「納得」できているかどうか。
他人の価値観ではなく、ただそれだけが、私たち夫婦にとっての唯一の正解でした。
【体験談Q&A】子なし夫婦の決断とその後|後悔・不安・周囲の反応のリアル
自分たちの中で納得していても、周囲との関わりやふとした瞬間に、心が揺れることは当然あります。
ここでは、私たちが実際に直面したリアルな悩みと、どうやってそれを乗り越えてきたのかを包み隠さずお答えします。
どれも正解のない問いですが、私たちなりの答えを書きます。
- 親や親戚からの「孫はまだ?」というプレッシャーにはどう対応した?
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まともに受け止めず、物理的な距離を置くことで心を守りました。
お正月やお盆の集まりのたびに、「子どもは早い方がいいよ」「〇〇ちゃんちの子、もう歩いたって」と無邪気に振られる話題。弟にはすでに子どもが2人いたため、余計に辛かったです。
最初の数年は、愛想笑いを浮かべながらテーブルの下でギュッと拳を握りしめて耐えていました。
でも、「私たちの事情を知らない人たちの言葉で、これ以上自分たちが傷つく必要はない」と気づいたんです。今は、帰省の頻度を年に1回に減らし、滞在時間も短くしています。
冷たいと思われるかもしれませんが、夫婦2人の精神的な平穏を守ることが最優先です。
- 夫が後から「やっぱり子どもが欲しい」と言い出す不安はない?
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正直、ゼロではありませんでした。だからこそ、何度も確認しました。
ショッピングモールで、お父さんに肩車されて笑う子どもを見たときなど、「本当に私と2人の人生で後悔しない?」と急に怖くなることがありました。
不安に押しつぶされそうになった夜、私は夫に直接その恐怖をぶつけました。
夫は面倒くさがらずに真っ直ぐ目を見て、「1ミリも後悔してないし、今後も変わらない」と言い切ってくれました。この先10年、20年経っても不安が完全に消えることはないかもしれません。
でも、そのつど何度でも「言葉にして確認し合うこと」が、唯一の解決策だと思っています。
- 子なし夫婦で後悔する瞬間はある?
-
「後悔」はありませんが、「老後への強烈な不安」に襲われる瞬間はあります。
子どもを持たないという決断自体に後悔は全くありません。今の生活が本当に幸せだからです。
ただ、病院の待合室でご高齢の方が子どもに付き添ってもらっている姿を見たとき、「私たちが70代、80代になったとき、病気になったら誰が助けてくれるんだろう」という底知れぬ恐怖で背筋が凍ることがあります。
だからこそ、「不安だね」で終わらせず、次にお話しする「現実的な防具(お金)」を作ることが絶対に必要だと痛感しています。
- 病気の事情は、周囲にどこまで話している?
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心から信頼できる1〜2人の友人にしか話していません。
以前、少しだけ事情を濁して話したとき、「今の時代、いいサプリや治療法があるよ!」と善意100%のアドバイスをされ、ものすごく疲弊した経験があるからです。
遺伝性難病への恐怖や、ジエノゲストを飲み続ける辛さは、経験したことのない人に本当の意味で理解してもらうのは不可能です。

りっすー

子どもはいないんです~
と笑顔でシャッターを下ろすのが、一番波風が立たず、自分も傷つかない処世術になりました。
【次の一歩】子なしの将来不安を消すための、たった一つの「防具」
他人の言葉に傷つくのをやめ、「2人で生きていく」と覚悟を決めた私たち。
しかし、前を向いたからといって、すべてがハッピーエンドというわけではありません。
Q&Aでも触れたように、子なし夫婦には「老後や病気に対する強烈な不安」という現実が確実に待っています。
「2人で生きていく」と決めたなら、まずは現実(お金)を見る
「もしどちらかが大病を患って働けなくなったら?」「老後の介護は誰がしてくれるの?」
深夜2時、ふと天井を見上げたときに襲ってくるこの底知れぬ恐怖は、ただ漠然と悩んでいても絶対に消えません。
子どもという「将来の支え(という期待)」がない私たちが、自分たちの尊厳と生活を守るために準備できる、たった一つの現実的な防具。
身も蓋もないですが、それは「お金」です。
綺麗事ではありません。いざというとき、シビアな現実から私たち夫婦を物理的に守ってくれるのは、愛や絆ではなく「手元の資金」と「正しい家計管理」なのです。
持病があってもできる。我が家の「リアルな家計と投資」
「お金の管理が大事なのは分かるけど、何から手をつければいいか分からないし、数字を見るのも怖い……」
そうやって考えるのを先延ばしにしてページを閉じてしまえば、明日もまた、ふとした瞬間に同じ不安で胸が締め付けられることになります。
今日、いきなり完璧な資金計画を立てる必要はありません。
まずは、「自分たちと同じように持病を抱えた子なし夫婦が、実際いくらで生活しているのか?」という【他人のリアルな数字】を覗き見することから始めてみてください。
見えない「未知」を、計算できる「現実」に変えるだけで、今の何倍も呼吸がしやすくなります。
私たちが毎月いくら稼ぎ、薬代などの固定費をどうコントロールし、どんな投資で将来に備えているのか。綺麗事抜きのリアルな生活費の内訳は、以下の記事にすべてまとめています。
まずはこの数字を見て、あなたのご家庭の「次の一歩」の判断材料にしてください。
▼我が家の赤裸々な家計簿と、生活費のリアルはこちら
2人暮らしの生活費の平均は?総務省データと我が家の家計を比較してみた









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